開発最前線 vol.3 黒田 光範

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自由な発想で研究を行う研究班活動おもしろく、楽しい研究で今までにない製品を

研究開発型企業であるMORESCOでは、業務としての研究・開発とは別に、社員が自主的にテーマを選び、メンバーを集めて研究する研究班活動が盛んに行われている。黒田光範は、潤滑油の副生成物を利用した新商品の開発というユニークなテーマで研究を行い、研究班活動発表大会で優秀賞を受賞。商品化を目指して「おもしろく楽しい」研究を行う黒田に、研究のやりがいや今後の展望を聞いた。

黒田 光範

研究テーマ 「もったいない」をきっかけに、新製品開発を行う研究班を立ち上げ

ある潤滑剤の製造業務を担当していたところ、大量に発生する副生成物があり「もったいない、何かに使えないか」と考えました。そんな時、スポーツ用品店にスキーやスノーボードの板の滑りを良くするためのワックスを売っていることを思い出し、この副生成物を使えば、もっといい製品が作れるのではないかと考えたんです。MORESCOの製品は直接消費者には見えないところで使われることが多いので、消費者に身近な製品を作れたら面白いなと思いました。
上司に相談して、研究班の立ち上げを事務局に申請し、同じ製造部や、開発部・研究企画室などで、一緒に仕事をしてみたいと思っていた人たちに声を掛けて研究班を結成。研究テーマの設定にあたっては、やっていて面白いこと、今まで誰もやっていないことをやりたいという思いがありました。まず、この副生成物を何に応用できそうか、メンバー全員で幅広くアイデアを出し合いました。そこで出た17のアイデアの中から、先行する特許はあるか、実現性はあるかなどの検討を行い、4テーマに絞って4つのチームを組み、研究を開始。私はそのうちの2チームに参加しながら、全体の計画立案とスケジュール管理を行いました。

研究の難しさ 全員で進捗を共有することで、最後までやり遂げる

業務としての研究を優先して行う中で、研究班活動の時間を作るためには、メンバー全員の自己管理が必要でした。二週間に一回、進捗報告会議を行って全員が集まることで、研究のゴールに対する意識を高めるよう工夫しました。私自身も、忙しくなると研究班活動のための実験ができず、悩んだこともありましたが、全員が参加する会合で方向性をメンバーと確認し合い、スケジュールを修正しました。研究班活動をしていたからこそ、本業の研究も、段取り良く行えたかもしれません。

研究の楽しさ いろいろな技術を持った人が自由な発想で、新しいものを生み出す

研究班活動は、自分で「これをやりたい」と考えたことを、すぐに実行できるのがとても楽しいです。研究テーマも自由度が高く、どんなテーマでも認めてもらえます。また、新しいことをするために社外の方と協力したり、外部の設備を使用したり、幅広い研究を行うことができます。自由な発想で研究をするというのは、MORESCOの社風だと思います。また、さまざまな技術を持ち、いろいろな分野で活躍している人と同じチームで研究できることも、研究班の醍醐味の一つです。私は配合技術が専門ですが、合成を専門にしている人の意見はすごく新鮮で、日々気づきがあります。会合では「そんなこともできるんだ!」「なるほど!」という声が飛び交っていました。また、研究班以外の本業の業務でも、研究が行き詰まったときに、研究班で知り合った人に意見を求めたりするなど、製造部と開発部の距離が縮まり、部門を越えて連携が取れるようになったという声も聞きます。

工夫したこと 興味のある研究テーマだから、楽しく続けられる

与えられた研究テーマではなく、メンバーの興味のある研究テーマを自主的に設定したことで、モチベーションを一定に保って研究を進められたと思います。リーダーとして気を付けたことは、研究テーマに興味を持てるような環境づくりです。自分がなぜこの研究テーマに興味を持っているかということをメンバーに話すと、メンバーも好奇心を持って実験を進めてくれます。成果を出すことに対するプレッシャーもありましたが、基本的にメンバーが遊び心を持って、おもしろく楽しく研究できることに注力しました。
また、月二回の会合の雰囲気づくりにも心掛けました。会合ではなるべくフランクに話すようにして、意見を言いやすい雰囲気になるようにしました。研究が遅れているチームや思ったように成果が出ないチームをフォローするのは大変でしたが、そのチームが無事研究を完成させたときは、とてもやりがいを感じました。

今後の展望 MORESCOを、もっといろいろな人に知ってもらいたい

研究班活動発表会では社長・役員をはじめ、研究開発部門の全員の前で、研究成果について発表しました。研究テーマが斬新で、インパクトが強かったことと、これからMORESCOの新商品にもなりえるという期待値が評価され、優秀賞をいただくことができました。賞金で、みんなで焼肉を食べに行きました。
最終目標は、この副生成物を使って新商品を出すこと。まずは、研究を進めて、発明考案報告書をまとめ、R&D会議にかけてもらうところまで行きたいと思います。特に、整髪料にこの副生成物を入れたものは、髪のまとまりやつるつる感といった官能評価で確かな結果が出ているので、さらに幅広くデータ収集を行い、アピールしていきたいと思います。今年度進めた4チームのうち、3チームはテーマを継続し、1チームはテーマを変えて、商品化に向けて研究を進めます。
ゆくゆくは、MORESCOに今までなかった分野の製品が、世の中に出たらいいなと思います。MORESCOの開発した成分が入った整髪料がお店の棚に並んだり、スノーボードのオリンピック選手がMORESCO製品で板をメンテナンスしたり。今まで一般の人になじみにくい商品が多かったですが、研究成果をどんどん社外にも発信して、「こんなこともやっているんだな、面白い会社だな」と思ってもらえるようになればうれしいですね。

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vol.3 合成潤滑油事業部 精密品製造部 黒田 光範

自由な発想で研究を行う研究班活動おもしろく、楽しい研究で今までにない製品を
研究テーマ
研究の難しさ
研究の楽しさ
工夫したこと
今後の展望